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山の緑と川のせせらぎに包まれるカフェ/Phin and Bean 河口準さん

ふるさとでのカフェづくり

山県市美山地区に2019年12月にオープンしたカフェ「Phin and Bean」は、ぎふ・水と緑の環境百選にも選ばれた山県市北部の円原伏流水の近くにあります。一歩店内に入ると、程よい音量のジャズが流れ、モダンでありながらどこか懐かしさを感じさせてくれます。ここは、オーナーの河口準さんが高校生まで暮らしていた実家のあった場所。自分の家がこのまま廃墟になることを避けたかった河口さんは、地域のために何かできることがないのかと思い、趣味のDIYを生かしてカフェを作ることにしました。

いろいろ悩みながら、少しずつゆっくりと形にしてきた河口さん。壁を壊すところからはじめた改装作業はとても大変でしたが、いろいろな仲間にも助けてもらいながら、DIYの動画サイトなどを参考にして、完成まで1年かけて作り上げました。

あるときから、「いくつになっても遅いってことはない」と自問自答し、後悔しないように生きたいと考えはじめた河口さん。幼い頃からこだわりの強いタイプで、こうあるべきだと思うことには、それに向かって追求していくことが多かったと言います。カフェをつくることにした行動は、こうした考えからつながっています。

Phin and Beanの名前の由来

Phinというのはベトナムコーヒーを淹れる時に使うコーヒーフィルターのこと。ベトナムのホーチンミンの大聖堂の近くにある河口さんの大好きなカフェの名前を引用してお店の名前を「Phin and Bean」にしました。時間を見つけてはベトナムを訪れ、その際にはカフェ巡りをして本場の味を勉強し、お店で出すベトナムコーヒーは日本人の舌に合うようアレンジを加えています。

注文が入り、その様子を見ていると、コーヒーフィルターに挽いた豆を入れ、そこに注がれたお湯がゆっくり一滴一滴時間をかけてカップに落ちていきます。鼻先にコーヒーの芳しい香りが漂ってきました。

今後は、お店の前にある円原川沿いの土地を譲ってもらい、川を見ながらコーヒーが飲めるテラスを造り、円原川の清流に癒されながらコーヒーが飲める空間にしたいと計画しています。

何もないようで何かある場所

カフェの外観はとてもシンプルなデザイン。1度来店されたお客さんが、次に誰かを連れてきたいと思う店になりたい。口コミなどで、徐々にお店のことを知ってもらうことを河口さんは望んでいます。ここを訪れてのんびりしたい人、時間に縛られずに自分を無にしたい人、そんな人たちにとって、くつろげる場、何もないようで、何かある場所なのです。

古民家「水音」でくつろいでもらい、農家レストラン「舟伏せの里へおんせぇよぉ~」でお昼ご飯を食べて、「Phin and Bean」で美味しいコーヒーを飲みながらのんびりしてもらう。そして、美山地区にテレワークできる環境を整え、昼間は仕事をして、夜はお酒を飲みながら、この空間での時間を過ごしてもらいたいと考えています。

1日が終わりほっと息をつく夕方、好きな音楽を聞きながら、次はどこをDIYしようと構想を練りながらお酒を飲む。円原川のほとりに建つカフェ「Phin and Bean」で、至福の時間を河口さんは過ごしています。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分