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安全な水を快適に届ける大切な水栓バルブ/株式会社木村製作所 木村友範さん

山県市美山地域は水栓バルブ発祥の地

山県市美山地域にはわたしたちの生活に欠かせない水を安全に、そして快適に届けてくれる水栓バルブを製造している企業が集積しています。その中で、株式会社木村製作所は水栓バルブに使われている部品を製造しています。木村製作所がある場所は急勾配の坂道を登った先の高台。抜けるような空が広がり、緑豊かな山県市の山々を見渡すことができます。その景色を一望できる場所で、木村製作所は工場を増築してきました。

全国の水栓バルブ関連部品の4割が、ここ山県の企業によって生産されています。「1958年の創業以来、真鍮(しんちゅう)加工一筋です」と話すのは木村製作所専務の木村友範さん。木村さんは創業者の長男として生まれ会社の歩みを近くで見てきました。

木村製作所は2003年に品質保証規格ISO9001:2000の認証を取得して、国際標準に沿った品質をキープしています。具体的に、木村製作所ではどんなことをしているのでしょうか。

水栓バルブには様々な形状の部品が使われていています。木村製作所では水栓バルブの部品に真鍮という金属を使っています。真鍮とはどんな金属なのかを木村さんに尋ねると、「みなさんが良く知っている5円硬貨は黄銅で、10円硬貨は青銅の真鍮で出来ています」と教えてくれました。

工場内では棒状になった真鍮を機械で削り出す方法で水栓バルブのパーツをつくります。機械からは、同じ形に削られたパーツがいくつも出てきます。「金太郎飴みたいに部品がポコポコ出てきます」と木村さん。自動機械でつくるものや、作業者の手作業でつくる部品などがあります。また、加工するときに出る切粉は、回収して大事な資源としてリサイクルするなどゴミゼロ・廃棄物ゼロを目指した取り組みも行っています。

工場内の作業効率の工夫

工場の中はとても整理整頓されていて、床も明るい色にペイントされています。作業に必要となる部品や道具を見えるようにして、すぐに取り出せて、使った後も同じ場所に戻せるような工夫や、機械の進行状況をわかりやすくしたり、扉の開閉を省力化したりするなどさまざまな工夫で全体の作業効率をあげています。

また、安全性を考え置いてあるものの高さ制限や転倒を防ぐ工夫を社員が考え出すなど、見た目を整えるだけでなく、仕事をする上で何が必要で何が不要かを明確にしながら、社員自らが考えるようになっていくことを大切にしています。
こうした社員の自発的な取り組みの積み重ねが、長年この地で操業してきた木村製作所の強みだと感じました。現在一緒に働いてくれる人を募集している木村製作所。これだけ環境整備が進んでいるので、新しい人が入社した際には、短期間に仕事を理解してスムーズに作業ができそうです。

創業からの想いを受け継ぐ

「父が21歳の時にこの会社を創業したんです。父と叔父の2人で始めて、その後兄弟4人でここまできました」と木村さん。

木村さんは大学を卒業後、工作機械関係の商社で5年間勉強して、実家の木村製作所に入社しました。現在、世代交代が進み木村さんの叔父さんが社長さんとなり、木村さんを含む従弟4人で会社の運営に携わっています。1人でやっていくのは大変ですが、4人いるのはとても心強く、それぞれ年代と個性が違うので常にこれからの木村製作所をどうしていくのか、時代が拡大路線なのか?そうでないのか?など4人喧々諤々で検討しています。

そんな仕事熱心な木村さんの趣味は身体を動かすこと。すぐ近くにあるゴルフ場で休日は気分転換もかねてゴルフをしています。「とても見晴らしがいいゴルフ場が近くにあるんです。運動が一番!腰痛対策にもなるしね」と優しい笑顔の木村さん。社員さんたちの間では野球が盛んなのだそうです。

そんなことが気軽に出来るのも自然に囲まれた場所にあることや、長年蓄積されたノウハウを生かしながら運営している木村製作所が働き易い環境であるからでしょう。これからもしっかりした技術と品質で世界に認められる真鍮加工製品がつくられていくのでしょう。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分