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何気ない日常から面白さを感じ取る/画家 片岡 美保香さん

地元での個展開催で感じたこと

2021年12月から22年1月にかけて、山県市美術館で個展を開いた市内在住の片岡美保香さん。片岡さんは山県市で育ち、現在は岐阜市内の高校で美術の非常勤講師をしながら画家として活動しています。池田町の極小美術館で個展開催した記事を見て、「山県市出身の画家なら」と、個展開催の声がかかりました。片岡さんに当時のことを聞くと、「正直、まだ画家としては始めたばかりの私を選んでいただけるということに驚きました」と言います。また市内に美術館があったことを知らなかったそうです。

展示会では、中学時代の同級生たちが多く見に来てくれました。小さい頃から絵を描くのが好きで、中学生のときに「自分は何を持っているのだろう?」と考えて美術系の高校に進学したので、卒業以来の再会でした。「同級生たちから『刺激をもらえた』と言われたことがとても嬉しくて。これは地元で開催したからこそ。とてもありがたかったです」と片岡さんは笑顔で話します。

何気ない日常に感じる魅力

片岡さんの絵には人はいるけど、表情がないのが1つの特徴です。その理由は、人物そのものより人物の動きと背景のトータルで何が起きているかを見てほしいので表情が邪魔になってしまうと感じたから。そして、背景に青や緑が多いのは、「子どもの頃から田んぼや自然の景色を見て育ったからかも」とのこと。

いつかは山県の背景も絵に取り入れられたら考えています。「家の近所に普通の雑草だけど日の光を浴びてきらきらと輝いていたり、若い稲が風でゆらゆらと波のように揺れていたりという日常の何気ない風景に魅力を感じます」。

片岡さんは、風景だけではなく、身近なものからも絵のインスピレーションを得ています。いま描いているのは、頭から少し食べられている「鯛焼き」のシリーズ。描くきっかけになったのは、鯛焼きを食べている途中にその形を見ていたら、「何か面白いな」と思ったから。「身近なものにこそ、よく見たら面白いという発見がありますよ」と教えてくれました。

いつか山県へ恩返しを

近所の人たちは作家活動を程よい距離感で温かく見守ってくれるそうで、片岡さんは「山県はとても居心地がよい」と話します。そして生まれてからずっと住んでお世話になっているので、今後アートのイベントなどで一緒に何かできたらと考えているそうです。「山県市内には面白い作家も多く、そういう方々と何か一緒にできたら。そして、市内の子どもたちと一緒に絵を描くなんていうこともやってみたい」と片岡さんは笑顔で話してくれました。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分