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「手ぬぐい額販売日本一」ニッチな商品を追求、そんな会社が山県に/山田木管工業所 山田等さん

山県市にある山田木管工業所

山県市佐賀にある山田木管工業所の社長である山田等さんはとても声が響き、包み込むようなおおらかな笑顔をみせてくれます。「仕事が趣味です!土曜日、日曜日もだいたい事務所で遊んでいます。(笑)」と話す山田さん。仕事ばかりと聞くと猛烈なスタイルがイメージされますが、そうではなく「仕事が好き」で楽しんでいる方です。
事務所の応接室には様々な額が並んでいて、こんなにもいろんな額があるのかと驚きです。多くの人が欲しがるタイプの額は大きな企業が製作します。山田木管工業所では100人の中で1人が欲しいと思うような商品を追求しています。

山田木管工業所は、1951年に山田さんの父親が創業し今年で66年。生まれも育ちも山県市出身の山田さんは30才の時に父親を亡くし会社を引き継ぎました。当時はスプーンやナイフの木柄を製作する会社でしたが、商売も転換期で従来の仕事だけでは経営はなりたっていかないので、照明器具の枠製作や家具の扉、キッチンの扉、玄関収納の扉等。様々の商品に挑戦し、枠の技術を習得し徐々に主力を枠製作にシフトしていきます。下請けの仕事が主流だったため、得意先の倒産や内製化によって依頼が減ったことで、不本意な判断をしなければならない時期も経験しました。

ひらめきからうまれるオリジナル商品

現在製造している多様なアイデア商品の中に、学生さんのひらめきによって製品化が決まったものが含まれています。山田木管工業所ではインターシップで大学生を受け入れており、ある女子学生さんの友人が御朱印を集めていたということをヒントに『御朱印張額』という商品が開発できたそうです。現在も5代目のインターシップ学生が来てくれていて、6代目の学生もほぼ内定しています。半年間学生を預かるそうですが若い人とのふれあいで様々な気づきをもらい、成長していく姿に感動を覚えるそうです。それは現状の社員の方にも良い影響を与えてくれています。

また、てぬぐい額の「ゆらゆら額」は日本初の曲線を生かしたオリジナル商品。共通の仕事をしている人たちとの旅行でひらめいたそうです。アイデアの原型はらせん階段で『らせん階段は人生と同様で上から見ると元に戻っているが横からみると1段あがっている』仲良くしている方の言葉からヒントを得て、らせんを形にしています。この商品は人気で山田木管工業所の看板商品です。会社のミッションである日本の壁を楽しくしたい!そんな想いを形にした商品がたくさん並んでいました。

いずれは下請けの仕事ではなくメーカーにしていきたいと考えている山田さん。自分たちで作ったものは責任を持って販売していく。そうしていくことで、結果にも納得できます。手ぬぐい額は、インターネット販売を開始し商品も充実しています。今年から家具の扉やキッチンの扉として制作している『やまもくの四方框扉』を販売し始めました。カラー5色、サイズは自由。最大寸法8尺というオリジナル扉を1枚から対応しオーダー販売していきます。8尺(2330㎝)の扉は日本ではここでしか制作できません。今まではハウスメーカーさんに納品してきましたが ビジネスモデルの大転換としてやり始めました。1枚からのオーダーが可能で扉を変えるだけでイメージが変わっていく。以前から受注生産していましたので何の心配もありません。これがメーカーを目指していく第1歩です。と山田さんは話してくれました。

これからも誠実に

広い工場の内で、「ここが枠を組み立てるところです」と案内された場所で働くおおらかな笑顔の女性は山田さんの奥様でした。苦しい時を懸命に支え、信じてここまできたのでしょう。今も一線で仕事しながら、家庭も守っている奥様の大きな愛を感じます。そしてインターネット販売は最近入社した息子さんが担当し、次の時代に繋いでいく人材ができています。山田さんとしてはうれしさ半分、心配半分の親心ですが、きっと良い方向に進むことでしょう。

誠実に歩み真摯に対応していく山田さんの周りには山県市の澄んだ空気と、父親がつくった昔からの事業を守りながら次の時代に対応できる業態に柔軟に変化させています。実は今年、中小企業庁が選ぶ『はばたく中小企業・小規模事業者300社』に選ばれたそうです。「様々の方の推薦で決定し、その中でも苦しかった時も応援して支えて頂いた皆さんに感謝しており、大変ありがたいことだと」山田さんは話されています。これからも会社のミッションである『日本の壁を楽しくしたい』を目指してご自身も楽しみながら社員の方と日夜奮闘される山田さんの姿が目に浮かびます。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分