見出し画像

山県の農家レストラン「おんせぇよぉ~」を訪れて思い出す小学生のころの景色

山県の農家レストラン「舟伏の里へ おんせぇよぉ~」へ

北山農家レストラン「舟伏の里へ おんせぇよぉ~」では料理上手なおばあちゃんたちが、家族に作るのと同じように愛情を込めて作った、山県に伝わる料理を食べる事ができます。頂いたのは一番人気の「舟伏の里ランチ」。混ぜご飯、お味噌汁、日替わりで楽しめる主菜に煮豆・胡麻和えなどの田舎料理の小鉢が5品、そしてお漬物という彩り豊かなメニューです。このレストランでは、おばあちゃんたちが作った野菜やこの地域で採れた山菜を中心に使っているので、季節によってはもちろん、毎日メニューが少しずつ違うそうです。

「今日はこんなの採れたよ」「じゃあ今日はこんなの作って出してみようか」そんな会話をしながら料理が決まっていくとのこと。「名前のない料理も多いのよ。今日の主菜何か分かった?豆腐と」「あっ答えいっちゃだめじゃない」という井上春子さんと井上喜美子さんの会話で笑い声がはじけます。「何が食べれるかはお客さんの運次第よ」とお話されていましたが、それもまたこのレストランの魅力のひとつになっています。

山県の郷土料理「味噌煮」も懐かしさと一緒に

冬のお勧めは「味噌煮」。白菜の漬物や野菜、きのこなどを味噌で煮込んだ山県の郷土料理です。この味噌もおばあちゃんたちの手作り。訪れた日は、ちょうどこの日は味噌を仕込む日でした。「味噌作りしてみたいな」と話すと、「じゃあ今から一緒に作る?おいでおいで」と笑顔で誘ってくれます。調理場にはおばあちゃんたちの笑い声と「パシッ」「パシッ」と樽に味噌団子を打ちつける音が心地よく響いていました。この味噌煮には、この土地で取れたイノシシ肉を追加する事もできます。

「おんせぇよぉ~」ではたらく井上春子さん。
「私はお客さんとして食べに来てたのよ」
それがみんな忙しそうだな、でも面白そうだな、ちょっと手伝おうかと思っているうちに、いつしか、作り手になっていたそうです。ここで働く仲間と一緒に過ごす時間がとても楽しく、雪に覆われる冬場など、長期休業の時期はみんなに会えなくて寂しいと思うそうです。

地元のおばあちゃんたちと、興味を持った人とが一緒になってこちらのレストランを運営しています。「みんなにおだてられながら作ってるのよ」「ケンカしながらね」と冗談を言いながらにこにことお話をするおばあちゃんたち。仲のよさがうかがえます。こちらが初めて口にする料理や、自慢のお味噌の事など、聞くと何でも教えてくれます。料理だけでなく、おばあちゃんたちとの会話も楽しめる素敵な時間を過ごす事ができそうです。

小学生のころと変わらない景色を見ながら過ごすこと

このレストランは廃校になってしまった小学校を利用しています。校舎は変わってしまってはいますが、地元のおばあちゃんたちが通っていた場所でもあり、とても思い出の残っている場所なんだそうです。「私はここから見える景色が本当に好きなの」と木造だった頃の校舎の絵を見つめながら、井上さんたちと一緒にはたらく三嶋廣子さんが教えてくれました。昔なじみの地域の人と、昔からの変わらない大好きな景色を見ながら、楽しい時間を共有できる場所としていつまでも残していきたいとお話して見えました。そして、若い方からお年を召した方まで幅広い年齢の方がお客さんとしてみえますが、「地元に帰ってきたみたい」と喜ばれる事も多いそうです。誰もが通ってきた小学校という場所が、子供のころの思い出を呼び覚ますのではないでしょうか。地元の人もお客さんも、思い出に浸れる場所としていつまでも残っていって欲しいという思いが感じられました。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分