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ほっこり、ほほえみがこぼれる素朴な味わい・桑の木豆

山県の秋を彩る桑の木豆

山県市の特産品のひとつの桑の木豆は、山県の北部にある美山地域で昔から栽培され、食べられてきた伝統食材。ほくほくとした食感がおいしくて、ピンクに色づくさやがとってもきれいな豆です。桑の木豆が作られている美山地域周辺は、明治から大正時代にかけて養蚕業が盛んに行われていて、当時はお蚕の飼料となる桑畑がたくさんあって、その根元に桑の木豆が植えられていました。

「小さい頃、うちもお蚕さんを飼っていてね、桑の葉っぱをとってきて、お蚕でよく遊んだ記憶があるよ」と懐かしそうに話すおばあちゃん。台風が来ても倒れないようにするために、桑の木にツルをからませて作っていたことから「桑の木豆」と名前が付いたそうです。

また、鮮やかな赤い色のかすり模様が特徴の桑の木豆ですが、他にも紫や緑のものもあったりして個性的。色付き方がバラエティー豊かな桑の木豆ですが、その中でも鮮やかなピンクに色づくのは美山地域で育ったものだけなんだそうです。不思議ですね。 完熟して赤く色付いたさやはとってもきれいで、秋の山県に彩りを添えています。

おばあちゃんから習った桑の木豆の煮物

桑の木豆はインゲン豆の一種で、収穫は9月頃から始まり、10月下旬頃から保存用をとって乾燥させます。一般的な豆と違うのは、サヤごと乾燥させて保存するところ。豆が大きくなってもさやがやわらかいので、乾燥させても丸ごとおいしく食べることができます。若い時期に収穫したものは、そのまま茹でておひたしやフライ、煮物や炒め物に。

乾燥させたものは、水で戻して煮物やおこわ、フライをはじめ、お菓子の材料などにも使われています。どんな料理でもおいしく食べることができる桑の木豆ですが、その中でも山県で昔から食べられてきた「桑の木豆の煮物」の作り方を、山県のおばあちゃん達から教わりました。

まず、桑の木豆と水を鍋に入れて火にかけます。「煮る時は弱火でね。強火でグツグツさせると、サヤの口が開いて中の豆が出ちゃうから。あと、やわらかくなるまで調味料は入れちゃだめよ」とおばあちゃん。煮方や味付けのタイミングなどのポイントを教えてくれました。

先に調味料を入れると豆が引き締まって、豆がかたくなってしまうそうです。やわらかく炊くには、このひと手間が大切。コトコト煮える鍋から漂ってくる豆の香りもごちそうです。ゆっくり楽しみながら料理します。また、使う調味料は醤油と砂糖のみ。

煮物に使う調味料と言えば、醤油と砂糖以外にみりんだったり、出汁を使ったりすることもありますが、シンプルな味付けで、野菜や肉などの食材の旨味を活かすのもおばあちゃん流です。

山県のおばあちゃん直伝・桑の木豆の煮物の作り方

煮物の材料

桑の木豆(生)30~40本、醤油 大さじ1、砂糖 大さじ1.5くらい、水 適量
※生の桑の木豆や、生のものを冷凍して使うときは、そのまま調理しますが、乾燥させた桑の木豆は、水で戻してから調理します。

作り方

①、鍋に、桑の木豆を並べるようにして入れます。(向きを揃えることで、煮崩れしにくくなります。)
②、桑の木豆がかぶるくらいの水を入れ、蓋をしてやわらかくなるまで弱火で1時間ほどゆっくり茹でます。
③、豆に爪楊枝を刺して、チェックしてみましょう。やわらかくなっていたら醤油と砂糖を入れます。そのまま汁気が少なくなるまで煮たらできあがりです。

ほくほくの豆を口に頬張ると、なんだか心がほっこりして和みます。昔から、この地域で大切にされ受け継がれてきた素朴な味わいです。桑の木豆は山県市内にある「ふれあいバザール」で購入することができますので、山県へ訪れたら、ぜひ味わってみてください。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分