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身近なものでワクワクできる幸せ/ドライフラワー専門店「はながら」 さわださわこさん

「お花が好き」

岐阜・山県市には、月に1回だけオープンするドライフラワーの専門店「はながら」があります。入口の白い看板に、「はながら」と描いてあるのが目印です。お店は住居の一部を利用しており、オーナーのさわださわこさんは、そこで家族4人と柴犬の親子と暮らしています。

玄関を入ると、色鮮やかなドライフラワーが壁や天井に飾ってあります。近所の方はもちろんのこと、岐阜県や愛知県、三重県、石川県などからたくさんのお客様が訪れるお店です。さわださんは地元山県市で生まれ、小さい頃から母親の植えた庭の花たちに囲まれて育ちました。

学校を卒業後、働きながらフラワーデザイナーの資格をとり、6年間のOL生活をした後、花が好きだったので生花店に転職。その後は、生花店の仕事を続けながら、フラワーアレンジメントの講師としても働いていました。

結婚を機に仕事を辞め家庭に入りましたが、友人にフラワーアレンジメントを教えたり、クリスマスリースを作成したりしていくうちに、あるショップから販売の話があり、ドライフラワーの企画販売を初めることになったそうです。

さわださんは自宅を建てた時、人が集まる家にしたいと考え、玄関を土間風の広がりのある空間にしました。そこに、注文されたドライフラワーをぶら下げたり、つるしたりしている様子を見ていたご主人が、「これがいいんじゃない?ドライフラワーの店にしたら」と提案してくれたことがきっかけとなり、この店を初めることになります。

お店をはじめてからも、子育てを大切にした生活を過ごしつつ、いつの間にか8年経ち、自然な流れで今のスタイルができました。

鮮やかなドライフラワーの秘密

さわださんのドライフラワーはとても色鮮やかです。アジサイ、バラ、プロテア、ミモザ、コットンツリー、つるの実など、様々なものがあり、中には不思議な花のような、実のようなものがあったり、山火事で燃えた花などもあります。

色々な花たちを試し、ときには失敗しながら、ドライフラワーになりそうな花を見つけていきました。さわださんは、オーダーでウエディングブーケを製作しているので、お客様の要望に沿ってお花を揃えていきます。ウエディングブーケは生花しかできないと思いがちですが、今はドライフラワーのブーケも増えてきているそうです。

ドライフラワーの作り方をたずねると、

ドライフラワーは、生花と同じで、花が1番旬の時にドライにしています。ドライ=枯れているのでは無く、その花の時間を止めているのです。「自然のままで一切加工はしていないんですよ」とさわださん。

花の旬を見極めることのが、ドライフラワーの仕上がりにつながることを教えてくれました。さわださんがつくっているドライフラワーには、自然な色のグラデーションがでています。その理由の1つが、ご自宅の環境。家を建てるときに、健康の為に壁は吸湿作用がある火山灰シラスの材質を選んだことが、ドライフラワー作りにも向いていたからだそうです。

ずっと自然体で

ドライフラワーにするとき、花の種類にもよりますが、折れやすい枝や、幹が曲がらないものがあり、取扱を丁寧にしていきます。密に密にまとめで仕上がったブーケは、存在感のあるひとつのオブジェのようになります。さわださんは、つるとか実をドライフラワーにすることが好きで、雑草とか身近にあるものを見ていると、想像が広がりワクワクするそうです。中でも気に入っているのは、野山で摘んだ「ヒメコバンソウ」で作ったブーケです。ヒメコバンソウは日本のどこにもある雑草で、見落としてしまいそうな、はかなげな花です。かなりの量が必要となり、きれいな状態で採れるタイミングも短い花なのでブーケづくりには難しい花なのだと教えてくれました。さわださんとお話をしているとき、窓から見える景色がとてもきれいで、そんな景色のお話をすると、「ここは、日が昇って、日が落ちる様子を毎日眺められるような、とても景色のいい場所なんです。この場所は、私の生まれた家から100m位の所。子どもの頃はこの景色が当たり前で、何も思いませんでした。でも今は、とても素晴らしいと感じられます。主人もここに住みたいという気持ちに賛同してくれたとき、とても嬉しかったんです」「朝日を浴びて夕焼けも見えるってとっても素敵です。大好きなことです。星もとっても美しいです。」とさわださん。心地よい場所で、大好きなドライフラワーの仕事を続けられることは、とても幸せなこと。さわださんのドライフラワーには、自然の美しさが凝縮しています。自分の感性に忠実で、そして自然に逆らわない形で生活しているさわださんがつくるドライフラワーは、多くの人を幸せにしていくことでしょう。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分