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おいしさにはワケがある!どこにも負けないモンブラン/RICO DOLCE 店長 花村 舞さん

オンライン販売で全国的人気店に

2020年のオープン以来、看板商品の「生モンブラン」の他、極薄のクレープ生地とクリームを重ねた「和栗ミルクレープ」、最高傑作と銘打った「こがね」など、和栗にこだわったオリジナリティあふれるスイーツを世に出し、人気を博すRICO DOLCE。品質の高さと極上のおいしさ、見た目の美しさなどから注目を集めています。オンラインで購入できるため、地域を問わず全国にファンがいることも特徴的です。

商品開発や製造に中心的に携わるのは、地元出身・在住の花村舞さん。近隣の美濃市でパティシエとして働いていましたが出産を機に退職。子育てをしながら好きなお菓子作りを続け、個人のSNSで発信していたところフォロワーが増えて評判になり、オーダーケーキの注文が舞い込むようになったそう。「そんなときに、RICO DOLCEに誘われたんです」。

栗本来の味を引き出し、香りを閉じ込める特殊製法

RICO DOLCEを開いたのは、栗加工機械を製造する地元企業でした。栗本来の魅力や、素材としての栗の生かし方を熟知する自社だからこそできる発信を模索し、最高においしい栗スイーツの店を立ち上げることに。同じタイミングで、地元からお菓子作りを発信していたのが花村さんでした。この出会いはまさに運命の導き。

「最初にRICO DOLCEが扱う栗を食べたときの衝撃は、今も忘れられません」と花村さん。同店が使うのは熊本県山鹿市と山江村の栗で、自然の甘みと香りの強さ、濃厚な味わい、鮮やかな黄金色が特長です。「この栗でお菓子を作りたい!絶対にどこにも負けないものができると確信しました」。

栗本来の味を最大限に引き出す秘けつは、自社で生栗の加工から手掛けることに尽きます。栗スイーツ専門店でさえ既製品のペーストを使用するのが一般的な中、この方法は異色。生で仕入れる栗を蒸し、一つずつ割って傷みや変色のあるものを省いて選別してから裏ごしなどの加工を施します。

工程の一つ一つにも工夫を凝らし、香りと風味を逃さず抜群の口どけの良さを実現しました。商品によって品種を使い分けたり、配合を変えて組み合わせたりも。「他では真似のできない製法だと思う」と胸を張る花村さん。「とにかく食べてみてもらいたい、食べれば分かります!」。実際に購入した人からは「冷凍ケーキの概念が覆された」と感想が寄せられ、リピーターになってくれる人も多いそうです。

利平栗産地として地元をふたたび盛り上げたい

気がかりなのは、農家の高齢化や栗生産の衰退です。実際に契約する熊本の栗農家も後継者不足は頭の痛い課題。花村さんらは年に数回生産地を訪ね、栗について学んだり情報交換や品質チェックを行ったりするそう。「生産者さんは単なる原材料の供給元ではなく、商品づくりをする上でかけがえのないパートナー。今後も一緒にできる活動の幅を広げていきたい」と話します。

「利平栗発祥の地」として知られる山県市も、やはり生産者の高齢化に悩まされています。「本当は地元の栗を使ってモンブランを作りたいけれど、生産量が足りない」と花村さん。「利平栗は地元の大切な宝で、なくしてはならない。栗生産に目を向ける若い世代を増やすためにも、私たちにできるのは栗の魅力をどんどん発信することです」。RICO DOLCEのスイーツは山県市のふるさと納税にラインナップされており、これをきっかけに栗産業にも注目が集まることにも期待しています。

生まれてから現在まで一度も地元を離れず暮らし続ける花村さん。「自然が身近で暮らしやすい。人も温かいのが魅力」と話します。「行政が子育て支援に熱心で、同世代のママ友と出会う機会も多い」といい、RICO DOLCEでも20代~30代の若い世代が活躍しています。「田舎暮らしに憧れて移住してくる人も増えているし、若い世代が横につながれば街はもっと面白くなりますね」。自然豊かな街で生み出された極上のモンブラン、食べることが栗農家の応援にもつながるといいですね。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分