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楽しみながら地域のために/西村覺良さん

教育・歴史とともに歩む

山県市の魅力と人をつなぎ続けるスペシャリスト――地域コーディネーター西村覺良(ニシムラ カクリョウ)さん。山県は西村さんなくして語れないほど、いろいろな顔をもっています。社会教育・青少年育成・文化財保護など広い分野で多くの役職を兼務しながら教育・歴史とともに歩んできました。大学は史学を専攻して、その後教職に。専門が史学だったことから、岐阜県史や岐阜市史・高富町史などの編集、㈶岐阜県文化財保護センターの発足に携わり、発掘業務や文化財を守るために予算捻出に建設省や道路公団・水資源公団などと折衝したこともあったとか。その後、教員養成・現職教育の役割を持つ学校の校長を歴任し退職。今もなお、教育・歴史さらにはまちづくり・地域活性と活動を通じて、山県を元気にする活動を継続されています。

自分たちでやるんだ!

退職後に、自分たちでまちの魅力を見つける“山県の「よさ」を見つけましょう会”を発足。「人に言われたことばかりでなく、自分たちの手で一歩を」と月1回山県ゆかりの場所を巡り、自然・歴史・文化、さらに風俗・習慣などを学んでいます。巡る場所は自分たちで決めます。「よさ」を自分自身が知り、学び・楽しむことで、次世代の方にも伝えることができる――この活動に賛同している方は会員約100名、毎月の参加者は約50名。山県市の方の意識・好奇心の高さが伺えます。全ては「よさ」を継承していくために――。「笑顔が新たな学びを生む」をテーマに、学校と地域住民をつなぐ山県市学校コラボレーション事業も担当しています。地域住民が子どもに教えることで、子どもが笑顔になる。その子どもの笑顔で地域住民も笑顔になる。お互いが学び合い、信頼し合える――あくまで学校と地域は対等の関係で支え合っていくことが地域活性・まちづくりにつながると日々奮闘しています。内容としては、学校の授業で昔の生活について知る必要が出てきたら、子どもたちに学びを深めてもらうために地域住民が昔の道具などを持って使い方も教えて交流しています。また西村さんは、子どものみならず、大人にも歴史を知ることを深めてもらおうと、江戸時代に書かれた古文書の読解の仕方を多くの人に手ほどきしています。そして、皆が地域の歴史、先人の生き方を知ることができるようになるのです。大人も学びを深め、子どもに伝える――このように「よさ」は継承されるのです。

1本の筋

西村さんには「みんなで守っていく。大事だという想いをみんなで持つ。」という1本の筋が全てのことに通っているような気がします。山の遺跡を守る活動や民俗芸能・文化の伝承もされており、活動は留まることをしりません。里山保全も行い、山から下りてくるイノシシやめったに見られない、カンアオイ・ギフチョウのために、生態調査や里山整備をして保全をしています。人間も含め、全ての生き物が「らしく」いられるように、想いを持ち守るべきものを守っています。

このような活動に使命感を持ち、志を同じくする団体や山県市・教育委員会とも連携・協力しながら、みんなで得意なことを補いつつ活動しています。当たり前だけどなかなかできないことを西村さんはさも当たり前に行うのです。

――気が付いた人からやり始めればいいんだ!何事も自分が無知であることを知ることこそがはじまりだ!

古文書を読み解いたり、遺跡を見たりと、昔の山県に想いを馳せ、楽しみをもちながら日々を煌びやかに過ごされている西村さん。「古文書を読むと、この地域は映画になるストーリーがたくさんあるんだ」と古文書を紐解かれている姿は、まるで少年が山県を探検しているかのように楽しそうでした。「何より楽しむためには仲間も大事!仲間と共に歩みながら」と話す西村さん。

人に活かされながら生きている。だからこそ地域のために。
西村さんの生き方もまた先人のように山県に受け継いでいってほしいと思う山県の宝のようでした。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分