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彩り鮮やか、旬を味わう里山の季節料理・だつの酢の物

赤だつの酢の物

里芋の葉柄を甘酢に漬けた「だつの酢の物」は、しゃくしゃくっとした独特の歯ざわりがおいしい色鮮やかなお漬物。岐阜県の中濃地方を中心に昔から伝わる郷土料理です。里芋の葉柄は、緑色のものと赤紫のものがありますが、山県では、赤だつと言われる鮮やかな色に染まる八つ頭のだつを使います。

酢漬けにすることで日持ちすることから、冬の保存食にもされてきました。里芋の中でも、八つ頭は芋が小ぶりで大きくならないため、野菜が少ない冬場の山村地域にとって、食用となる茎の部分はとても貴重な食材でした。

今は、副菜として食べられることが多いですが、昔は保存食としての他、食べると母乳が良く出ることと、古血を洗うと古くから言われていることから、産婦の体力回復を願って母親が料理して食べさせてくれたそうです。また、酢と和える「酢ぶて」や、炒ってから酢と和える「酢いり」、重しをのせて酢に漬ける「漬物」など、酢の物でもそれぞれの地域でいろんな作り方があります。

酢を入れると、ぱっと赤く色付きます

山県のおばあちゃん達が普段作っているのは、炒ってから酢に和える「酢いり」の酢の物。だつは生のものを使います。果肉は、ふかふかしたスポンジ状で細かい穴がたくさん通っていて、包丁を入れたときの切り心地はサクサクっとしていて軽いです。

どうして八つ頭を使うのか聞いてみると「八つ頭の方が美味しいから。色もきれいでしょう?」とおばあちゃん。山県の山間の気候は寒暖差があり、きれいな赤い色のだつが育ちます。また、八つ頭は普通の里芋よりも、アクが少なくて食べやすいそうです。

皮を剥いて刻んだつは、塩もみをして水気を絞りフライパンで乾煎りします。「ここで酢を入れると、ぱっと赤くなるのよ」熱いうちに酢を入れると、だつがみるみると鮮やかな色になります。あとは砂糖を入れたらできあがりです。

見た目は鮮やかですが、飾らない素朴な味がなんだかあったかく感じます。 だつの酢の物は、生の葉柄が採れる夏から秋にかけて里山の地域で作られている季節料理。毎年この時期を楽しみにしている人がたくさんいます。

だつの酢の物の作り方

酢の物の材料

赤だつ 500g、塩 小さじ2、酢 大さじ3、砂糖 大さじ3

酢の物の作り方

①、だつの皮を剥きます。太いものは縦に細く切って3〜4cm幅に切ります。
②、塩を振ってしばらく置いたら、手でよく揉んでギュッと水気を絞ります。
③、温めたフライパンで、だつを乾煎りします。
④、酢と砂糖を加えたらできあがりです。
※酢と砂糖はお好みで調整してください。

※2024年8月YAMAGATA BASE HPからの移管分